レモン、糞

大阪拘置所がまだ建て替え前に拘留されたから、
窓の外にも廊下にもネズミがうろちょろ走り回ってた。
部屋には公衆便所のような臭いが充満していて、
基地外用の独居部屋の天井にはカメラとマイクが設置してあった。とにかく寒くて、寒さに耐えきれなかったが、ははは、檻の中だからな。ネズミは年末年始も元気に走り回って、窓の外の鉄格子を我が物顔で登り降りしてた。

封筒に入ったレモンヘイズはおよそ2グラム。ボング、吸う。
吐く。あー
小さな音で音楽かけてる。
たんたんたん。
空が渦巻いてる。いや、室内だ。空じゃなくで天井だ。天井が笑ってる!?いや、おかしい。
昔のカノジョの顔だ。
いや、だから天井だろ。
だから、笑ってる。 
だから、天井だろ。
だから。
笑ってる。
あー。
茶ぁ飲みてえ。
あー

口乾く。いや、のど。のど。のど飴。龍角散の。なんか波動拳みたい。いや、技じゃない。そうやな。俺がバカやったな!俺がバカやったな!
昔、オカンにバカたりって言われた。
はっはっはっは。昭和の話。昭和のワード。HEYHEYHEY。
サッポロポテトくそうまい、
細長いほう。糞、うまい。
でもこれ量多い。
押し潰されて殺される。わかる?
えっ。わかるんだ!
俺も。
わかるんだ!
すごい。
あっ、明日、なんだっけ、不動産屋の、
なんか室内工事の人が来るから、今日ははやくねるよ。
そんで、あれ。なに言おうとしたっけ。
あ、サッポロポテト、量多い。無理だわ。
ははははははは。これは、これは。
うわぁ(笑)
うわぁ(笑)
二回。さすがの、
二回。
今の無し!
ストップ。
ええと、最初の話に戻ると、ボロい拘置所の独居ですごく寒くて看守呼んで、俺はそいつが大嫌いだったけど、そいつもおれのこと大っ嫌いで、
んじゃあピザでも取って一緒に飲もうぜ。って言ったんだ。
飯とか入れるときに開く小さな隙間からピザとワンカップを入れてくれた。
そんでクリスマスだっつうのに二人で館内に流れる大塚愛のダセえ曲聴きながら一緒に飲んだ。
糞大阪。
糞拘置所。
糞メリークリスマス。
ああ。